忙しいあなたの代わりに、史上最強の「良い本・良い暮らし」のご提案

1冊の本に出会うことで、人生が大きく変わることがあります。良い品物に出会ったことで幸せになれることもあります。とはいっても、多様な商品があふれる中で、より価値の高いものを選び出すのは大変です。そこでこのブログでは、忙しいあなたの代わりに、史上最強の「良い本・良いくらし」の提案をさせていただきます。

分析 / 学問

スポンサードリンク
 
多くのモノとモノの「関係を表現する」のは、ビジネスの場面でも重要です。

ある商品を置いておくと隣りの商品が売れやすい、または売れにくいとか、

商品どうしには関係性があるかもしれません。

こういった関係性を表現したいときには、「グラフ」が使えます。

え?エクセルでグラフなら書いてるけど?って思われた方、

ここでいうグラフは、エクセルでつくるx軸ーy軸のある図ではないんです


「グラフ」とは、モノとモノのつながりを表現する方法です

ここでのグラフは、モノとモノの関係を「つながりの有無で表現したネットワーク図」のようなものです。

グラフとは、モノを表現する「ノード」と、モノ同士の関係を表した「つながり(エッジ)」で表現されます。一般的には下のような図で表現されます。こういうグラフを、グラフィカルモデルと呼びます
グラフィカルモデル
Wikipedia "グラフィカルモデル"より


グラフィカルモデル
は、「向き」の情報を含めることができます

グラフィカルモデルの例として、たとえばTwitterのフォロワー関係があげられます

各人をノード、フォローの関係をエッジでつなぐことで、Twitterの人間関係はグラフィカルモデルで表現できます。

Twitterで、AさんとBさんがつながっているというのは、以下のパターンがあります。
  • AさんとBさんは互いにフォローしあっている A ⇄ B
  • Aさんがフォローしてるが、Bさんはフォローしてない A → B
  • Aさんはフォローしてないが、Bさんはフォローしている  A ← B
このように、フォロー・フォロワーの関係には「向き」を定義できます


グラフィカルモデルでは、「つながりの強さ」を表現できます

グラフィカルモデルを使うと、モノとモノのつながりを表現できますが、つながりの強さも表現することができます。

つながりの強さを理解することで、あるモノ・コト(ノード)には、どのノードの影響が強いか・弱いかを定量的に把握することができます。 

他にも、既存のグラフに新しいノードを加えることがあったとします。そのときは、どのノードにどの程度の強さでつながるか?といった疑問も推定することができます 


グラフィカルモデルは、仕事の悩みに指針を与えてくれる

グラフィカルモデルの活用例は、たとえば、「会社の商品と顧客の関係」への応用が考えられます。

構築したグラフィカルモデルをもとに、ある特徴をもった新規顧客は、

グラフの
  • どのノードにくっつきやすいか
  • その強さはどのくらいになりそうか
を推定することができます。

このことは言い換えると、
  • こういう特徴の新規顧客は、自社の商品のどれに興味をもつか
  • この新規顧客には、どのアプローチで接客すべきか
  • この新規顧客に相性が良さそうな担当者はだれか
ということなので、いつもの悩みの解決につながるのではないでしょうか。

グラフィカルモデルを使うと、こういった売り上げに直結する要素を、定量的に推測することができるのです。

似た例ではありますが、「顧客の行動予測」にも使えます。

たとえば、ある店舗の顧客がもつ特徴ってなんだろう?
ってときに、グラフが使えるんです。
顧客の過去のデータをもとにしてグラフィカルモデルを構築することで、この店舗は
  • 男性が多い
  • 40代が多い
  • 電化製品の購入が多い
  • 平均利用金額も他店に加えて高い
  • 来店頻度は2週間
  • レストランフロアにはあまりこない
といった「顧客の行動」を予測することができます。予測できれば効果的なマーケティングにもつながりますよね。

あなたの持つマーケティングの事前知識と、得られたデータを組み合わせることで、グラフィカルモデルを構築することができ、ビジネスをさらに発展させることが可能です!

マーケティングって詳しくないんだけどな〜って方もおられるかと思います

ビジネスパーソン必須の「マーケティング」は、そのノウハウが体系化されています。

辞書代わりにつかうことで、マーケティングについてのモデル化をスムーズにしてくれるのではないでしょうか。

グラフィカルモデルでは、事前データが必要です。データの収集・保守・管理なども重要になります。クラウドなどIT技術の進歩によって、膨大な顧客情報が収集・管理しやすくなり、得られた巨大なデータを「ビッグデータ」と呼んで、ビジネスに役立てることができるようになっています。そういった現状をサクッと理解できる1冊はこちらです

 
今回の例ではビジネス関係のものを挙げましたが、他にも様々なところで応用されています。

たとえば「ゲノム解析」です。グラフィカルモデルを使うと、がん患者の遺伝子ネットワークと、がんでない人のネットワークがどう違うかを調べることができます。がんの原因を推定したり、治療薬の開発に貢献できる可能性があります。

他にも、ロボティクスの分野でも使われています。
ロボットの動作は、たとえば移動するロボットでは、
(外界を認識+自身を制御する) → (移動などのロボットからみた外界の変化) →
(ふたたび外界の再認識+自身を制御) → (移動などロボットからみた外界の変化) →
・・・以下繰り返し

のように、時系列で外界認識と、ロボット自身の制御が行われます。

このようなロボットの動作は、じつはグラフィカルモデルで表現できるんです。

     【ロボット自身の制御(時間1)】
      ↓
【ロボットの状態(時間1)】→ 【外界認識(時間1)】
  ↓
  ↓  【ロボット自身の制御(時間2)】
  ↓   ↓
【ロボットの状態(時間2)】→ 【外界認識(時間2)】
  ↓
  ↓  【ロボット自身の制御(時間3)】
  ↓   ↓
【ロボットの状態(時間3)】→ 【外界認識(時間3)】
  ↓   
以下繰り返し

このような感じで、ロボットの状態は、グラフィカルモデルで表現できます。
ちなみに、ロボットが外界を認識するには、外界を「状態」という空間を用いて表現します。なので、ロボットの状態・制御・認識の時間変化は、「状態空間モデル」と呼ばれたりもします。

状態空間モデルは、ロボットだけでなく、興味ある対象がなにかの変化によってどのように変わっていくかということをモデル化することができる汎用的な方法です。

このように、グラフィカルモデルはマーケティングなどの「ビジネス」や、医学・ロボティクスなどの「研究」分野でも活用されている、自由度の高い手法になります。

 
グラフってよさそうだね!

ん〜でも難しそうだなぁ〜!?

なにを・どう勉強すればいいの??ってなりますよね〜


「グラフィカルモデル」どう勉強しよう?

グラフィカルモデルをつかった推論を行うには、まずグラフを構築(モデル化)する必要があります。

グラフで表現できる現象は、確率論をもちいた「確率的グラフィカルモデル」でモデル化できます。

確率的グラフィカルモデル」とは、「ベイジアンネットワーク」や「マルコフネットワーク」の2つに大別されます

ベイジアン(Bayesian)ネットワーク(BN)」とは、ものごとを確率的に表現し、それら同士の因果関係を、ネットワーク構造としてモデル化したものです。因果関係は方向性をもったグラフ(有向グラフ)で表現され、因果の強さは条件付き確率で表されます。また、ネットワークでは、循環構造を含まない「非循環有向グラフ」になるという特徴があります。

また、「マルコフ(Markov)ネットワーク(MN)」とは、確率的に物事を表現し、それらの関係を「方向性をもたないグラフ(無向グラフ)」で表現されたネットワークで、その点がベイジアンネットワークと異なっています。

え!?むずかしそう〜!って思われた初学者の方は無視して大丈夫です! 

専門用語を使っただけで、言ってることは上の例と同じなので、学んでいけばわかるので、いまは気にしなくてだいじょうぶです 


でもやっぱり、統計学とくらべると、

「ベイジアンネットワーク?マルコフネットワーク?って敷居が高いんだよね〜」

って思っておられる方もおられるのではないでしょうか。

たしかに、これらのグラフィカルモデルを理解するためには、確率・統計だけでなくグラフ理論や推論アルゴリズムなどを学ぶ必要があります。

しかしグラフィカルモデルは、モデル構築の自由度が高いことなど、他の統計モデルにはない大きなメリットを備えていて、学ぶ価値は十分あります。

出来るだけサクッと学べたらいいなぁ〜 

グラフィカルモデルを「効率的に理解」して仕事に役立てたいなぁ〜

そういうあなたにおすすめの本がこちらになります。
確率的グラフィカルモデル
鈴木 譲
共立出版
2016-07-23

本書では、グラフィカルモデルの基礎から、その学習や因果推論だけでなく、画像処理や行動モニタリング、遺伝子(ゲノム)解析などの応用例まで、はばひろく俯瞰できる本です。

本書の構成は以下のとおりです
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

第1部 ベイジアンネットワーク

第1章 ベイジアンネットワークの基礎(植野真臣)
はじめに
グラフィカルモデル
d分離
ベイジアンネットワーク・モデル
ベイジアンネットワークの表現と推論
条件付き確率表
事前分布の周辺消去
事後分布の周辺消去アルゴリズム
ベイジアンネットワークの学習
基本モデル
事前分布
母数推定
周辺尤度による構造学習
構造学習アルゴリズム
おわりに
参考文献

第2章 グラフィカルモデルの構造学習(鈴木譲)
はじめに
ベイジアンネットワークとマルコフネットワーク
事後確率最大の森の構造学習
局所スコア
独立性の検定
Chow-Liuアルゴリズム
条件付き独立性の検定
事後確率最大のBNの構造学習
大域スコア
動的計画法としての定式化
最短経路問題としての定式化
条件付き独立性とBNの構造推定
MDL原理の適用
スコアの導出
計算量の削減
相互情報量推定への応用
おわりに
参考文献

第2部 因果推論

第3章 グラフィカルモデルを用いた因果的効果の識別可能性問題(黒木学)
はじめに
因果ダイアグラム
因果的効果
定義
因果的効果と条件付き分布の違い
ノンパラメトリック構造方程式モデルに基づく識別可能条件
バックドア基準
フロントドア基準
線形構造方程式モデル
総合効果の識別可能条件
バックドア基準・フロントドア基準
操作変数法
潜在変数モデルの新たな見方
潜在的操作変数法
おわりに
参考文献

第4章 構造方程式モデルによる因果探索と非ガウス性(清水昌平)
はじめに
因果探索では何を問題にしているか?
因果探索のフレームワーク
因果探索の基本問題
因果方向推定の基本アイデア
LiNGAMモデル
推定
拡張
潜在共通原因「あり」の場合の因果方向推定
おわりに
参考文献

第3部 離散論理によるグラフィカルモデル

第5章 離散構造処理の技法と確率モデル(湊真一) 
はじめに
ベイジアンネットワークの確率推論計算とMLF式
BDD/ZDDによる離散構造の表現と処理
MLF式のZDDによる表現
MLF式を表すZDDの構築手順
ベイジアンネットワークの構造とZDDの変数順序付け
おわりに
参考文献

第6章 離散確率変数と独立性(石畠正和)
はじめに
準備
条件付き独立性
文脈依存独立性
部分交換可能性
関連研究
おわりに
参考文献

第4部 統計力学とグラフィカルモデル

第7章 確率推論への統計力学的アプローチ(樺島祥介)
はじめに
イジングモデル
強磁性相転移とイジングモデル
統計力学の形式論と計算量的困難
基本的な平均場近似
分子場近似
ベーテ近似
発展的な平均場近似
キャビティ法
適応TAP近似
おわりに
参考文献

第8章 マルコフ確率場と確率的画像処理(田中和之)
はじめに
確率伝播法とマルコフ確率場による確率的画像領域分割
実空間繰り込み群の方法による確率的画像領域分割の高速化
まとめ
参考文献

第5部 応用

第9章 ベイジアンネットワークと確率的潜在意味解析による確率的行動モデリング(本村陽一)
はじめに
ビッグデータを活用する確率的モデリング技術
ベイジアンネットワーク
確率的潜在意味構造モデル
確率的潜在意味解析
確率的潜在意味構造モデルの応用
確率的潜在意味構造モデルによる消費者理解
おわりに
参考文献

第10章 ゲノム解析への応用(玉田嘉紀)
はじめに
ゲノム解析と遺伝子ネットワーク
遺伝子ネットワーク推定固有の問題点
遺伝子発現データは連続値データ
遺伝子ネットワークの大きさと構造学習
np問題
データの多様性
遺伝子ネットワーク推定アルゴリズム
B−スプライン回帰モデル
greedy hill-climbing アルゴリズム
ブートストラップ法を用いた高信頼遺伝子ネットワーク推定
ダイナミックベイジアンネットワークによる時系列遺伝子ネットワーク推定
遺伝子ネットワーク解析によるゲノム解析事例
全ゲノム遺伝子ネットワーク推定アルゴリズムによる悪性黒色腫データ解析
miRNA対応遺伝子ネットワーク推定アルゴリズムを用いた肺腺癌ゲノム解析事例
おわりに
参考文献
索引
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 本書は、2015年の文科省「数学恊働プログラム」「確率的グラフィカルモデルに関するワークショップ(電気通信大学)」の開催に端を発しています。

盛況だったワークショップ講演者たちが、グラフィカルモデルについて、初学者向けにわかりやすく解説した本を、として出版されました。

確率的グラフィカルモデルは、モデル構築の自由度が高いことなど、他のモデルにはないメリットが魅力です。またこの分野は歴史が長く、豊富な成果も蓄積されていて、参考事例をたくさんみることができます。 

本書では、専門書をじっくり読むというよりは、
  • さらっと通読してグラフィカルモデルの全体像をサクッとつかむ
  • 章ごとに、興味のあるところから重点的に読んでいく
といった読み方もできるのがうれしい1冊となっています。

お忙しいあなたも、必要最低限の知識を吸収しながら、必要になれば理解を広げていける1冊、おすすめです
確率的グラフィカルモデル
鈴木 譲
共立出版
2016-07-23






他にこちらの記事もございます

スポンサードリンク
 
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

コメント

コメントフォーム
評価する
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット

↑このページのトップヘ